
ここで
ブラックジャックというマンガについて簡単に説明します。
手塚治虫さんの代表作で1973年からの連載です。ブラックジャックという天才外科医がとてつもなく法外な手術料を提示してありとあらゆる病気や怪我、そして難病にいたるまで、その神の技術ともいえる腕で悪人から善人。そして貧しい者から超金持ちまでも、どんな困難な状況であろうとベストを尽くしてゆくというストーリーとなってます。
主人公のブラックジャックは神の手を持ちながら、その技術に反して医師免許を持ってません。いわゆる無免許医です。
子供の頃に恐れながら読んだ覚えがあって、ここ最近読みなおしてもやはりおもしろいです。
病気の話が中心でシリアスなストーリー展開なのですが、そこには生と死が入り混じり、人の感情が読み手にたいしてダイレクトに伝わってきます。
僕は花屋なので生と死などの現場に居合わせることなどないのですが、人の想いに関してはある程度の経験があります。
フラワーギフトを贈るとき、友だちだけど、とても大事な人。友達以上になりたい人。もうすぐ恋人になりそうな人。恋に落ちて記念日を迎えるひと。いつまでもそばにいて欲しいとプロポーズするひと。出産をした奥様をねぎらうひと。悪かったとパートナーにあやまるひと。数々のストーリーが花屋の店頭では飛び交ってます。
ストーリーは数多くあるし、人によってそれぞれ違う感情をもちあわせているので、その色彩は何万通りあるのかわかりません。
ひとついえることは、お花を贈ろうとする方々はけっこう真面目な気持ちで、贈るあなたに対して恥ずかしながらでも気持ちを伝えているのです。
その時期にはないのに、彼女の好きな花を一生懸命さがすかた。花言葉で検索してベストなフレーズを選ぶ人。(その花も大概ない時が多いです)
そんな探し求める人にたいして、僕が「ないですねー。」というと彼らは世界が曇ったようなけげんな表情をします。空は晴れてますよ。と言いたいくらいに。
そして僕は僕自身に対して不甲斐なさを感じます。ないものはしょうがないけれども、代用のお花や色彩をやんわりとおすすめしますが、お帰りになる人の肩を落とした後ろ姿はこちらの心まで憂鬱になります。
手塚治虫氏が描くブラックジャックは医療のシーンが多いのはあたりまえなのですが、その裏には人と人との感情や想いが交差する激しい描写が鋭く表現されています。
手塚さんが描くマンガのキャラクターのように、すこしでもやさしい気持ちで人の心を感じとれることができたらなと思う今日このごろです。