
「ゆるしていただいて、ありがとうございます!」と、ちょっと声を強くして言ってしまいました。
「予定通り、僕の友達がとりに行くので、よろしくお願いします」とだけ言って、注文主様は電話を切りました。
↑ ということで、前回の話の続きをさせていただきます。
前回の話を読んでない方には3行でカンタンに説明します。
① Xmasイブの日、おっさんが店長をしている花屋さんで国産の赤いばらがいっぱい売れた。
↓
② さすがXmas、男性から女性への愛のテンションはMax。ついでに花屋おっさんのテンションもスペシャルMax!
↓
③ ところがドッコイ!奈落の底へ。Xmasイブの日の最終営業時間に、赤いばら12本の花束の事前予約を発見!僕の完全なミス。花束作成リストの一件分だけが印刷欄外になっていた。調子に乗って赤ばらを売りすぎた結果、残りの本数が7本に。どうしようもないので正直に注文主様のМ・Jさんに謝罪の電話を入れる。やさしいМ・Jさんにゆるしていただく。М・Jさんの友達が代わりに取りに行くことになった。
と、ここまで話しました。それでは続きを。
「12本の赤いばら花束を注文してたМ・Jの代わりです」とその友達は言いました。20代後半ぐらいのTAHAHIROに似たイケメンです。
しかし、М・Jの友達はミスをして失敗してしまった僕とМ・Jさんとのやりとりをまったく知らず、商品代金を支払おうとしたんです。
「いやいや、すいません。赤いばら12本を揃えきれなかったのは僕の完全なミスなんで、お代金は頂くことはできないとМ・Jさんと約束しました。ほんとにすいません。ゆるしていただいただけでありがたいです」と慌てて言いました。
すかさず友達は「そんなんあかんで。じゃ、なんか買っていくわ」と言い、「そういえば俺の弟の誕生日近いねん」とさっと近くにあるプリザーブドフラワーの商品を手に取ってくれました。
ほんとに申し訳なかったんで、こちらの価格から割引させていただきます。と言うと、「それもあかんで」と、拒否しました。
プリザーブドフラワーをラッピングしている間、その言葉にうれしくて疲れた体が軽くなっていくのが感じられました。
そうしていると、一緒に来ていた年配の男性のお連れさんが、「おまえの弟やったらしゃーないなぁー、俺もなんか買うたるわー」といい、ねこのプリザーブドフラワーを購入してくれました。二つ合わせた代金は、僕が失敗してしまった花束の金額を越えてました。ほんとになんとも言えない気持ちです。
2人がさっそうと帰る時に、ねこプリザを購入していただいた年配の男性が「そもそもお前に弟なんかいたっけ?」と言ったのが聞きとれました。
え?っと反射的に僕はスタッフのすーちゃんと目を合わせました。
そしてすーちゃんがポツリと言ったのです。
もともと弟などいなかったんだ、と。
その時はおどろきのあまり、ただたんに口がぽかーんとなっただけでした。頭の中で整理することができません。お化けを見た人はこんな感覚なのかもしれないですよね。
家に帰ってお風呂に入ってる時、嘘をついた彼の人のよさが強く感じました。腹が出ているおっさんには痛いほど心に染みました。なんとも言えない気持ちになり、恥ずかしながら眼に涙が溜まりました。
僕の完全なミスを誠実に対応していただいたМ・Jさま、友だちさま、年配のねこプリザの3人さま、この場をかりてお礼を申し上げます。ありがとうございます。いろんなことを教わりました。
そして、当店を信頼して誠実に対応していただいてくれているすべてのお客さま、取引業者さま、スタッフのみなさま、いつもこんな僕とつきあっていただいて感謝しております。
ここでささやかながら「ロマンスとミステリー」を感じてしまうこの曲を聞いてください。
あなたに近々「ロマンス、ミステリー」が来ますように